でも、私が通っている高校は、地元でも有名な進学校で、毎日の宿題の量が半端なく多い。 だから、なかなか遅い時間でもピアノを弾く回数が少なくなっていた。 「どうして?」 「ううん、なんでもない」 気にしないで、というように、お母さんはニコッと笑った。 その笑顔がいつもと違うような気がしたけど、そのときの私は何も気にしなかった。