ひとりで足早に行ってしまった晴香の背中を見送りながら、ハッとして口を開く。

「渚は…?着替えに行かなくてよかったの?」

躊躇いがちに聞くと、渚は手に持っていたコーラをグビッと飲んだ。

「こんなヤローばっかの砂浜に、お前ひとり残して行けるわけないだろ」


そう言って、渚はコーラの缶をコンッと楓の頭に乗せた。


みるみる火照っていく顔。

頭から出そうな湯気を、渚のコーラが冷たく癒した。