耳をつんざくような蝉の鳴き声の中、駅から少し歩くと海が見えてきた。


波に反射した陽の光が、キラキラとまばゆく照らしている。


「ね~!ここに荷物置こ~!」

先に走っていった晴香が手招きする。

「あっつい!!なんか飲み物買ってくる!楓は何にする?」

「あ、えっと…ウーロン茶」

楓が答えると、晴香は渚には何も聞かずに海の家へと歩いていった。


ぽつん…と2人、残される。


「あ、座る?」

「あ、うん」

なんだかギクシャクしたままストンと腰を下ろす。


晴香が帰ってくるまで、それ以上一言も話さなかった。