ドンドンドン!ドンドンドン!


「パパ!開けてよ、パパ!!」


暗い地下で、杏奈は一喜の予想通り閉じ込められていた。


釈放されてすぐ、父親は有無を言わせず杏奈を地下へ放り込んだのだ。


まるで煩わしいものでも見るように、父は娘を見た。


「大変なことをしてくれおって…」



杏奈の父は、大企業の社長だった。


金で揉み消したは良いが、社長の娘が犯罪者等と騒がれては迷惑極まりない。


しかし、彼はさすが杏奈の父親ということだけある。


そのスキャンダルさえも、ピンチをチャンスに変えようとしていたのだ。


もっとも、かなり非道なやり方ではあるが…。