「……キスされて抱き締められた」 「はあっ!?」 随分と端折ったあたしの話に、霞は驚きの声を上げた。 それと同時に、ジュースをぽとっと机に落とした。 「誰に?」 「井岡篤樹」 「なんで?」 「……知らないっ」 あたしはフンッとそっぽを向いて、ピーチジュースを口に含む。 甘~い!おいし~い! 「知らない、って……」 霞の呆れた声がして、また顔を戻す。 「あの人なに考えてんのか全っ然分かんないの!だってさぁ!」 あたしはそこまで言って「ゔ」と声を詰まらせた。