「……だよな!なに言ってんだ、俺」
そう聞こえてきたと思ったら、肩を持ってガバッと離された。
「悪い、急いでるんだよな」
変なの……。
なにそのツラそうな顔。
無理やりキスしてきたくせに……。
あたしの方がツラいんだよ?
男なんて大嫌いなはずなのに……篤樹のおかげで調子くるいまくりだもん。
「そーだよ……急いでるの!」
あたしはそう言い捨てて、スーパーへ走った。
すっごくイヤな別れ方……。
だって、こんな態度取るつもりじゃなかった。
キスしたお詫びとはいえ、おいしいケーキを食べて、篤樹と過ごした時間が楽しかったのは事実だもん。
……でも、いい。
どうせ、もう関わらないんだし……。
そう思うと、胸がモヤモヤする。
そんなわけない。
自分に言い聞かせながら、家へ帰った。



