すると突然、俺の名前を呼ぶ声が聞こえて……。
「あの、ちょっと篤樹を借りてもいいですか?」
「どうぞ~♪」
先輩がそう答えた途端、知紗が中に入ってきて俺の腕を掴んだ。
「ちょっと来て!」
それから、客が全く入っていない部屋の廊下までやって来た。
そこで向かい合う俺達。
「知紗、どうし……」
「あたし、なにかしちゃったかな……?」
言葉を遮ったわりには、弱々しい知紗の声。
瞳が潤んでいて、今にも泣きそうな顔をしてる。
今すぐに抱き締めたい衝動に駆られたけど、グッと堪えた。
「あんまりメールしなかったのは篤樹が疲れるかな、って思ったからで……きゃっ!」



