その途中、知紗は困ったような顔で振り向いて俺を見てきた。 小さなことにイライラしてしまった自分が恥ずかしくて、目を合わせることが出来なかった。 「はぁ……」 それから、知紗も部屋へ行ってしまった。 絶対に感じ悪かったよな……。 「篤樹は知紗ちゃんが大好きなんだな~?」 なにもかも見透かしたような瞳で見てくる先輩。 「あんな優しい顔してる篤樹、初めて見たよ」 「………」 優しい顔、してたのか? こんなに小さな嫉妬なんかしてる俺が……? 「……篤樹!」