「知紗って、ほんと自分が分かってねーな」 ………え。 な、何それ! あたしが口を開くよりも、篤樹があたしの腕を掴む方が早くて。 「ひゃあ……っ!」 急に引かれた腕にバランスを崩して、あたしは驚きの声を上げた。 ……危ないなぁ、もう! 体勢を立て直したあたしはキッと篤樹をにらむ。 「にらんでも怖くねーし。いいから早く来い」 「怖くねーし、って……!てか、どこに?」 なんか篤樹に負けてる気分。 「海。まだ入ってねーじゃん」 「そうだけど……」 雅斗さんをチラッと見るあたし。