「あ……っ」 「大丈夫。ちゃんと聞こ?」 あたしの手を握ったまま、微笑む篤樹の言葉は優し過ぎて。 何だか、泣きそうになった。 「母さん、ちゃんと全部、話してよ?俺ら受け止めるから」 スプーンを静かに置いて、お母さんを見つめる千尋の瞳は真剣そのものだった。 千尋だって、そう言ってる。 あたしが逃げて、どうするの。 「えぇ、ちゃんと話すわ。その前に謝らなきゃ……」 え……謝るって、何を……? また不安が過る。 「もう、6年も前ね。その時……小学生だったあなた達に話さなくてごめんなさい」