「はい。知紗ちゃんが男嫌いなのは、お父さんが関係している、と聞いたので」 その篤樹の言葉にお母さんは、あたしに視線を向けてきた。 「ちゃんと、話さないといけないわよね」 そう言ってから、小さな笑みを浮かべた。 ────怖い。 お母さんは今から、何を話すの? 今まで黙っていたんだから、これからも知らない方がいいんじゃないの? つい俯いてしまって、そのままカレーを見つめていたら。 ───ギュッ 太ももに置いていた手を、優しく握られた。