そう言いたくなったけど。 「いただきまーす!」 カレーが食べたかったからスルーした。 ………うん、お母さんのカレーはやっぱりおいしい! と、1人にこにこしていると。 「今日は、知紗ちゃんのお父さんの話を聞きたくて伺ったんです」 篤樹がそんなことを言うもんだから、あたしの手がピタリと止まり 千尋も手を止めることはなかったけど、視線だけ寄越した。 「まぁ……お父さんのことを?」 少し目を見開いたお母さん。 まさか、篤樹の口から出るとは思わなかったんだろうな。