スタッフルームに入ろうとしたあたしを、矢田さんが止めた。 「……どうしましたか?」 あたしはドアノブに手を掛けたまま、矢田さんを見る。 「今日は着替えないで、その制服で接客をやってちょうだい!」 「……はい?」 あたしは裏で料理を手伝うバイトをしているわけで……。 決して接客なんてしてない。 男性のお客さんに接客することがイヤで……。 事情を知る矢田さんに、わがままを聞いてもらってるんだ。 ……なのに。 あたしはポカンと矢田さんを見つめる。 あ、あたしが接客なんて……!