「俺と付き合ってください」 ──…へっ…? 真剣な瞳の篤樹を前に、パチパチと数回瞬きをしたあたしは しばらく思考がストップしてしまった。 そっか……好き同士だと付き合うのは普通、だよね。 あたしは、“篤樹が好きだ”っていうところで止まってたから…… 「知紗?」 あたしがずっと黙っていることに不安になったのか、 篤樹が顔を覗き込んできた。 「あっ……ごめん。その、男の子と付き合ったことがないから」 「何だか実感湧かなくて」と付け加えて、少しはにかんだ。