「あたし……篤樹のことが好き、だから…」 すごく小さな声で言ってしまって 篤樹に聞こえたのかな?と様子を見るように顔を上げてみれば。 ───ギュッ 篤樹の顔を見る前に、あたしはシトラスの香りに包まれた。 こ、これは……抱き締められてるの!? 「うわぁー…知紗ちゃん、マジでズルいな」 篤樹の声が耳元で聞こえて、くすぐったい。 ちょっと身体を動かしてみると、 放さないとでも言うようにさらに強く抱き締められた。 「離れるなよ」