「っ……知紗ちゃん、ズルい」 「……え?」 何で、ズルいの? あたしがじっと篤樹を見つめると 篤樹は手を顔にやって、そのまま顔を反らした。 「知紗ちゃん、俺のこと何とも思ってないだろ?」 えっ……! 「なのに……そんなこと言われたら自惚れる、から」 指の隙間からは、頬をほんのりと赤く染めた篤樹が見えた。 「自惚れなんかじゃないよ」 考える間もなく出てしまった言葉に、あたし自身が驚いた。