「うわ、姉ちゃんマジで来たの」 桐山のグラウンド近くで、千尋にイヤそうな顔を向けられた。 ……ったく反抗期の弟は扱いにくいわね。 「うるさい。あたしはお母さんにこれを頼まれただけだから」 カサッ 今朝もらった袋を渡して、あたしのカバンからカメラを取り出す。 「千尋がサッカーを頑張ってる姿をしっかりカメラに収めとくから安心してプレーしなさいっ」 「カメラとか……勘弁してよ」 「それはお母さんに言ってよ」 あたしは知らないよ。 面倒くさいから、カメラのムービーで適当に収めておくか。