「あたし達と中学一緒だったらしいんだけど……井岡篤樹って人」 「はっ?」 言葉に出すと、ハッキリ認めた気になる。 これだけで想いを伝えた気分になっちゃうなんて……変なの。 「井岡篤樹って……あの篤樹?」 どの篤樹がいるんだろう… と思いながらも頷く。 「中学はサッカー部で、今は桐山に通ってるの」 「あたしが知らないわけないでしょ、篤樹を…」 明里はそう言って、過去を懐かしむような──…どこか優しい笑みを浮かべた。