あたしの父親は、いたって普通のお父さんだったと思う。



『帰ったぞー』

『お父さん、おかえりーっ!』



あれは、6年前のこと。


あの頃は、父親が帰ってきたら、千尋と一緒に玄関まで走っていって……。


父親はいつも、にっこり笑って。



『ただいま。2人揃ってきてくれるなんて、嬉しいなぁ』


そう言って……あたしたちの頭をポンポンって優しく撫でてくれたの。



その時あたしは小5で、もちろん背は今よりかなり低くて……。


父親の笑顔を近くで見たくて、背伸びをしてた。