そのとき、スタートの位置にいた先生がピストルを上げた。 「よーい……」 ――パンッ! 渇いた音が響いたと同時に、一斉に走りだす第1走者達。 他の学年の生徒や保護者の方達の応援が飛び交う。 「知紗ちゃん?次、俺達の番だよ?」 ……なんだか、頭がボーッとする……。 ん……? 平塚くんの声が聞こえる…? 「……っ、知紗ちゃん!」 なんで……? 平塚くんとは別の声が聞こえるよ……? 次の走者はあたし達だもんね……。 ……でも……。 走れないや……。 そこで、あたしの意識はプツンと切れた。