唇と唇の距離はわずか数センチ。 このままじゃ……ヤバい。 「よ……呼びます!呼びますから」 あたしが大きな声を出すと、生徒会長さんはニッと口角上げてあたしから離れた。 「え……っと、椿山先輩」 だったよね? 魁斗くんのお兄さんなら、名字は椿山で合ってるはず。 「ダメ、俺の名前は湊斗だし」 えぇ……!? 呼び捨ては出来ないよ、先輩に! 「じゃあ……湊斗先輩」 あたしも男の下の名前を、普通に呼べるようになってきたのか……。 自分の中で、1番の驚きはそれ。