「あ、篤……」 「いいから黙ってついて来い」 こ、怖ッ!! なにその低い声と、黒い表情! てか、名前さえも呼ばしてくれなかったよ!? 今あたしの手首を掴んで怖い顔をしているのは、紛れもなく篤樹。 ……仕方ない、おとなしくついて行くか。 ここでなにかされたらイヤだし。 「ごめんね、平塚くん。ちょっと抜けるね?」 「早くしろ」 はっ!? 何様のつもりなの、コイツは!? 「……分かった」 平塚くんは篤樹をにらんだ後、あたしにニコリと笑い掛けた。 ……な、何でにらんだんだろ?