「お疲れ~!息ぴったしだったね!」
適度な距離を走った後、平塚くんが口を開いた。
平塚くんはかかんで紐を取ると、あたしと向かい合うようにして立った。
「うん、1位狙えるね!」
あたしも冗談ぽく言って笑う。
「……っ!」
なぜか少しだけ頬を赤くした平塚くんは、下を向いてしまった。
……えっ、まさか体調が悪い?
「だ、大丈夫?」
平塚くんの様子を窺っているあたしの視界に、1番見たくない人が入ってきた。
……篤樹、ペア決まったみたい。
ウチのクラスの女の子じゃん。
よかった、よかった。
……って、なんであたしはアイツを見てんの!?



