「だって……今の気持ちを大事にできるんは、今の藤田さんだけやんか」
玉木くんの手のひらが、そうっと、ウチの頭からはなれる。
その瞬間、フワッて。
ウチの剛毛にも作用する、強めの風が吹いて。
「………な?」
「……う…ん……っ」
髪の毛が揺れた。
心も、ふるえた。
突っぱねてたモンがはずれて、ウチは、グシャグシャな顔でうなずいた。
…そっか。
そっかぁ。ウチ。
全然、気づけへんかった。
怖がってばっかで、絶対うまくいきっこないって。消極的に、先のこと考えてばっかで。
まっすぐ向かってきてくれるセッチの気持ちも。
とっくに動いとった自分の気持ちも、無視しようとしとってん。
今を大事にできんかったら、先なんてないのに。
そんなことが、わからんかった。
今の気持ちを無視して手に入れた未来なんて、ただ、後悔するだけやのに。



