5センチ、いうてな。
指と指の間で表したら、すごい短い距離に思うけど。
でも高跳びでいうたら、だいぶ感覚が違うみたいや。
185センチになったら、バー落としていく選手が、急に増え出した。
そんな悪い流れの中回ってった、セッチの順番。
「…あっ」
助走のあと、きれいに浮かんだと思たのに、わずかに体が触れとったらしい。
振動でバーが落ちてしもて、ウチもがっくり、肩を落とす。
ええかんじやった。引っかかったわけやないのに。
「お、落ちてしもた…」
愕然としてつぶやいたら、となりのカオちんに、背中バシッ!やられて笑われる。
「全部で3回やで!?まだ2回チャンスあるやん」
「あ、そ、そっか…」
ついつい熱が入っとったみたいで、勝手に前に乗り出しとった体。
お尻をちゃんと元の位置に落ち着けながら、こぶしにはグッと、力を込める。



