「〜やっぱあたし、もっかい向こう見てくる!!」
「アホ。お前まではぐれてどないすんねん」
「そ、そっか……」
花火を期待する人のざわめき。
ちっさい子どもの泣き声。笑い声。
にぎやかな周りとは反対に、おれたち二人は黙ってうなだれる。
「ほんまごめんな…」
「…若松のせいやない言うとるやろ。もうここで花火、見ようや」
知らん人が、ガシガシ肩にぶつかって流れていく。
全く予想してなかった緊急事態。
でも今は、タマキなんかと暗がりで二人きりにさせてもたって、焦る気持ちよりな。
アカンな。あきらめる気持ちの方が、数秒ごとにどんどん大きなっとる。
…タマキは、こふじのこと、好いとるんやんな。
サラッと告白みたいなんしとったし、夏祭りの約束取り付けるときやって変にジャマしてったし。



