いや、やらへんけど。セッチとはとくにやらへんけど。
…なーんや。やっぱり、いつもどおりやん。
ムカつくけど内心、ホッとする。
ウチのいらん心配返せ、このハゲ。毛根絶滅男。
「ほな行こか」
人のこと笑うだけ笑っといて、さっさと歩いて行こうとするセッチ。
めっちゃ損した気分や。ブスッとした顔で後をついていく。
迷うことなくスイスイ進んでいく背中を見て、思った。
こんな場所、ふだん来おへんはずやのに。
…セッチ、えらい慣れとるんやな。
「…なー、セッチ」
「なんや」
「最近行ったん?映画」
「…は?ここ何年もみてないけど。なんで?」
「えっ、だって場所、よー覚えてるなと思って」
そう言うたら、ギクッ、て。
セッチが急に、ロボットみたいな動きになった。



