「…なあ、セッチ」
「……なんや」
振り返らんまま。背中で、こふじのガラガラ声を聞く。
…さっきも言うたとこやけど。
「帰れ!」言われても、まだ帰らんでな。
一人にしとくわけにいかんやん。
ただいま~て、玄関からおばちゃんの声聞こえるまでは、絶対動かん。微動だにせん。
とか、思って。
ドッシリ、あぐらかまえとったら。
「…セッチの気持ち、わかった、かも…」
予想にもしてないことをこふじが言い出すから、普通に動いてしもた。
「……へ?」
振り返って、こふじのこと見る。
ぼんやりした顔のまま、こふじが言葉をつなぐ。
「この前、保健室で…ウチ、が、出て行こうとしたらセッチ…引き止めた、やんか…」
「……おー?」
「わかる、かも……こうやって、な。弱っとる、とき……ひとり、やなくて。そばに、おって、ほしなるんかも…」



