「…は。どれはいとるんよ」
「みどりのやつ…」
「ああ…アレか…」
セッチが、ちょっと遠い目をする。
せつないと、あきらめの、中間の顔。
ウチの洗濯物は、壁ぞいに干しても、となりのセッチの家からは、丸見えなので。
風にひるがえる、ウチの下着も見えてしまうわけで。
中に干しても、しょっちゅう家に来るセッチは、見てしまうわけで。
コケが生えたふうのミドリ色パンツは、2年以上はきこんでる、わが旧友。
ちなみにひし形。セクシー形態にはほど遠い。
色ははげて、まだら。毛玉よコンニチワ状態。
でも、どうやらコケミドリのおかげで、セッチの気の迷いアンド暴走は、とぎれたんちゃうやろか。
「……」
「……」
「こふじ」
「はい?」