「『何してんだよ!』そう言って父を
蹴りあげたお兄ちゃんは優しく私を抱き締めて
くれた『ごめんな…』私の背中を撫でながら
ずっと私にそう言っていた。父もお兄ちゃん
から『頭冷やせ!』そう言われて目が覚めた
らしく私を殴ることも犯すこともなくなった。
でもいくらなくなっても昔のように幸せな
家族にはなれるわけもなく、それから数日で
父は自殺した…涙なんてこれっぽっちも
出なくてこれで幸せになれる…
そう思っていた。だけど紛れもなく母の命を
奪ったのは私…幸せなんてくるはずなかった…相沢財閥の社長だった父にかわり妹の
紗知さんが社長になり、私とお兄ちゃんは
マンションをかりて二人暮らしを始めた。
お金に困ることもなくお兄ちゃんとは仲が
よかったから楽しく暮らせていた。
この幸せが…いつまでも続くと思っていた。」

下唇を噛み締めて苦しそうに言っている
千晃を抱き締めてやりたいと思った。

でも千晃のもつ空気がそれを許しては
くれなかった…。