【翔希サイド】


あーあ、面白かった。
由愛を俺が抱き寄せたときの大希の顔。
結構、焦ってたな。
やっぱりあの2人はからかい甲斐がある。


俺は自分の教室に戻り、机にへばりついた。


「翔希、どこ行ってたんだよ~!」


悠麻と慧斗が俺の席にやってくる。


「翔希、屋上にもいないから早退でもしたのかと……」


確かに俺は学校では移動教室以外では、屋上と教室ぐらいしか行かない。


「ん、別に散歩してただけ」


「散歩って……お前、じいさんかよっ!」


慧斗がツッコんでくる。


「大希と由愛をからかいに行ってた」


「え、お前いつの間に由愛ちゃんと!?」


悠麻が身を乗り出して聞いてくる。


「ん、今朝屋上でたまたま会った」


「はぁ!?何で勝手に1人で由愛ちゃんと会ってるんだよ!俺も会いたかった!」


悠麻は不満そうに文句を言う。


「ま、俺アイツ気に入ったから」


「はぁ!?由愛ちゃんのこと好きなのかよっ!?」


悠麻……テンパりすぎ。


「違う、気に入っただけ。好きとかじゃねぇーから」


俺がそう言うと安心したように肩を撫で下ろした。