翔希本人はまだ気づいてなさそうだけど。


相川にさっき翔希に何かされたか聞いたとき、顔真っ赤にしてた。
それに、嘘をついた。
実は俺、見てたんだよね。
俺も翔希の様子見に行こうと保健室いって、ベットに行こうとしたら相川の声が聞こえて……。
カーテンの隙間から相川が翔希に抱きしめられているのを見た。


翔希は寝ぼけてやったんだろうけど、好きでもない子にそんなことは普通寝ぼけてもしないはずだ。


翔希が自分の気持ちに気が付くのも時間の問題。
そして相川が翔希に取れられてしまうのも。


それまでに自分の気持ちを……伝えないと。



「あっ!」


そんなことを考えていると、相川がシャープペンを落とした。
シャープペンは俺の椅子の下に堕ちた。
俺はシャープペンを拾う。


「はい」


「あ、ありがとうっ!」


相川は笑顔で言った。
その笑顔に胸の鼓動が速くなる。