孤独は嫌いだ


 傷つけたくなかった、なんだそれは。

 どうか傷つかないでほしい、だがそれは不可能。

 ならばせめて彼が少しでも生きやすいようにしたい。

 では、どうするのか。

 それを私はまだ見つけられていない。

 死ぬことを否定すれば、生きなければならない。

 生きることを否定すれば、死んでしまう。

 他人の否定も肯定もどうせなんの役にもたたない、彼は他人の言葉に耳を貸さないからだ。

 だがやはり、考えてしまうのだ。

 どうすればいい、どうあればいいのか。

 曖昧なことは嫌いだ。

 それでも生きると死ぬの中間地点で気味悪く笑いすんでのところで彼を引き止めるのが今の私の精一杯。

 無力な自分の彼を掴む手が、醜く見えた。

 死にたい彼を引き止めてなんになる。

 生きたい彼を引き止めてなんになる。

 全ては私の自己満足だ。

 それでもやはり今日も乞うのだろう。

 彼の嫌いな澄み渡る夜空に、彼の幸福を。