緑の芝生の横の脇道を走る。
学生が物珍しげに俺を見るが、そんなことは関係ない。
俺の目指すものはただ一つ。
それは……
「城内」
いきなり名前を呼ばれ、立ち止まる。
俺の前には憎い神木……いや、橘が突っ立っていた。
チノパンに、洒落たジャケットなんて羽織りやがって。
マジで頭どうかしてる。
こいつには、ジャージが一番お似合いだ。
「……んだよ」
俺は橘を睨む。
すると橘は、
「ここにいれば来ると思ってた」
静かにそう言った。
こいつは……
待ち伏せなんて卑怯な手を使って、俺を止めようっつうのか!?