「つまり?」

「アンリ様はナオ様を愛してるんだけれど、
ナオ様の方は、アンリ様を愛していないのよ。」

困ったように、ヨウコさんは腕を組む。

「全く、興味がないって感じなんだよ。」

ヒヨちゃんが苦笑いをしながら付け足した。


「へえ~。・・・あれ?じゃあ、なんでいきなり隣の部屋に住むことに?」

「婚約が決まってから1年たったから、という理由で強引に、ね。」

「一緒にいる時間が長くなれば、王子様もアンリ様を愛してくれるかも・・・という、考えのもとに。」


「・・・・・そ、っか。」

どうなんだろう、それって。


「愛は、強制するものなんかじゃないのに・・・」

私は呟く。

「でも、そうも言ってられないの。なんせ、ナオ様は王位継承者。
世間体とかも、あるからね。」


ヨウコさんの言葉は、もっともだ。

でも、でも・・・・



「ハア・・・。でも私、実を言うとアンリ様のこと、少し嫌なんですよね・・・。」


ヒヨちゃんの言葉に、思わず目を見開く。

「まあ、そうよねえ・・・。私だって本当は嫌だもの・・・。」

ヨウコさんまで!?

えええええええええ!?


「さ、そんなわけだから、パッパと仕事する!イチャイチャしない!わかった?」


「はい!」

「は、はい!!」


私はさっきの2人の言葉に当惑しながらも、返事をし、洗濯物を干すのに戻った。