守ってくれますか?

アンリ様が私の頬を引っ張っていた。


私の頬をすぐに離し、アンリ様はにっと笑った。
悪戯っ子のように。



「分かってるわ。結婚なんてするべきじゃないってね。ナオ様には本気で好きな人がいるわけだし。

ちょっとあなたの反応が知りたくて言って見たら、あなた、ぼぅっとして、人の話聞かなくなっちゃうんだもの。ビックリしたわ。

ふふふ。最後の嫌がらせ・・・というより、これは悪戯かしら?まぁ、どっちでもいいけれど、大成功ね。」


アンリ様は微笑んだ。


その微笑は・・・優しげで、ひどく、綺麗だった。




「今まで、ごめんなさい。」


呆気に取られている私に、アンリ様は頭を下げた。


「私、プライドが高くて、変な意地張ってたの。本当に、ごめんなさい。」



アンリ様・・・・・



「ナオ様との婚約・・・破棄するんですか?」

私の口を付いて出た言葉は、ソレだった。


アンリ様は顔を挙げ、ぽけっとした後、笑い始めた。


「ヒカリったら・・・ひどいわね。私謝ってるのに、無視して、そっちの確認だもの。ふふっ。まったく、メチャクチャじゃない。」


あっ!

わ、私ったら、アンリ様謝ってたのに・・・

顔が熱くなる。


「す、すみません・・・」

「ふふ。いいわよ、別に。だってヒカリはナオ様が好きだって、分かったし?」

ニッコリとアンリ様は笑った。