涙で顔が濡れている。

瞳には、哀しみと苦しみと憎しみがゴチャマゼになっている。


「・・・・・・私、醜いの。」

かすれた声で呟く。


「醜い?」

俺はまだヨナの背中をさすっている。

ヨナはそのことを怒ることも、感謝することもしなかったから、とりあえずこのままさすっている。


「そう・・・。とても、醜いの。」

ヨナはふっと俯いた。

今ここにいるのは、漆黒の神副リーダーのヨナではなく、ただの恋する女の子のヨナだった。


「分かっているの。レイン様が私の方を見ないのは、私に魅力が無いからで、そんなのは私の問題で・・・。ヒカリは、関係ないって。ちゃんと、分かっているの。でも・・・・・・」


涙がまた、次から次へと零れおちる。


「うぅっ・・・・・わ、私、許せなくてっ・・・・。ひっく・・・・レイン様の視線がヒカリに集中するのが、許せなくてっ・・・苦しくてっ・・・・・・。」


ヨナは嗚咽のせいで途切れ途切れながらも、自分の心を必死に言葉にしていた。



ヨナの気持ちは、痛いほど分かった。


俺も・・・ヒカリの瞳が他の男に集中すると、いらだった。

信頼そているカイトでさえ、ヒカリと仲良くしていると、モヤモヤした。

女々しいと思った。
心が狭いと己を責めた。



ヨナにとってヒカリは・・・親しくもない、ただの女。

尚更、苛立ちは深いだろうし、頻繁に起こるだろう。


ヨナの本心に、初めて触れて、初めて理解することができた。



それは、はたして、喜ばしいことだろうか・・・・・?