守ってくれますか?

「だから、無駄だと言ったのですが・・・。惜しいことをしましたね、クウ。」


ママを海に落とした張本人・・・ゼロは、何事もなかったかのように、平然としている。

達成感も、後悔も、哀れみも、罪悪感も、・・・・・何も、無かった。


ゼロはただ、幼い私達へと視線を向けただけだった。



ぞくり・・・
悪寒が走る。

人って・・・人を殺した時、あんなに平然としていられるもの?

あんなに・・・
無感情でいられるもの?





「逃げられませんよ、ヒカリ、ヒカル、フウ。いい加減気付いてください。殺すのは手間がかかります。」

手間・・・・・?
人を殺すことは、“手間”で、片付けられちゃうの?





「ほぉ・・・手間とは。おぬしも冷め切っておるのぉ、ゼロ。」

しわがれた声が響く。



この声は・・・・・






「リヨン様。どうしてこちらに?」



赤ちゃんだった私とヒカルをワープさせた老人、リヨンが海の上に浮かんでいた。


白髪が、三日月に照らされ、キラキラと光っている。

萌黄色の瞳には・・・哀しみが満ち溢れていた。



・・・・・哀しみ?
なんで・・・?