フッと、早送りが止まる。
私とヒカルは5歳になっていた。
あれから・・・・・2年がたったのか。
また、夜だった。
夜空には、黄金の三日月。
美しく、どこか儚げに、漆黒の夜空に浮かんでいる。
あの、和室だった。
記憶の中で、初めてパパとママを見た部屋。
そこで、幼い私とヒカルとパパとママが座っていた。
電気もつけずに。
「私は、お前達を愛してる。」
パパの声だ。
自分のことを、“私”と言うようになったんだね。
「だから、だからこそ、お前達の記憶を消してしまおう・・・」
記憶を・・・消す?
パパが、私とヒカルの記憶を、消したの?
「ごめんね・・・愛してるからこそ・・・」
ママが、泣きながら言う。
幼い私とヒカルは、黙って、2人の話を聞いていた。
でも、手が、震えてる。
「・・・・・記憶を消して、フローレ大国へと行くんだ。この島を出れば・・・漆黒の神は追うことが出来ないから。」



