アンリ様はナオ様の体を、すごい速さですり抜け、私の真ん前に立った。


「・・・アンリッ!?」

ナオ様の驚きの声が聞こえる。


アンリ様は、ギラギラと底光りする瞳で、私を睨みつける。


灰色の瞳に映るのは、

憎悪。
憎悪。
憎悪。

憎悪の黒い闇のみ。




・・・私の体は震え始める。



・・・・怖いっ・・・





「どうしてあなたなんかが、ナオ様と会うことを許可されているの?
どうして、あなたにナオ様は笑いかけるの?

どうして?
どうして・・・あなたみたいな使用人がっ!!!!」


アンリ様は叫ぶ。叫ぶ。

狂ったように。



「許せない・・・ああ、許せない・・・
憎くて憎くてたまらないっ!!!!!」





アンリ様は叫ぶ。


叫びながら、私に襲いかかってきた。