「・・・本当に、いつも、ご冗談がお好きで・・・」



「冗談に、聞こえるか?」

ナオ様の、低く真剣な声が聞こえる。


「・・・ッ!!!」

アンリ様が悔しげに呻く。


「そんなっ!!!どうして!!!どうしてっ!?」


ナオ様は無言だ。

私は、ナオ様の背中で、ナオ様の表情は見えない。

もちろん、アンリ様も。


わかるのは声のみ。

・・・それでも、アンリ様の悔しさは、痛いほど伝わってきた。



・・・・私は、ナオ様の言葉を聞いて、なぜかほっとしていた。


理解不能な心に、私は狼狽する。

どうなってんの?
私。
どうして・・・






「ああ・・憎らしい・・・・・」


その、恐ろしい声に、ぞっとした。



――突然響いたその声は、アンリ様のものだった。