・・・弱虫め・・・


そんなんで、悪いかもしれない真実を、受け入れられるのか?

愛しい兄弟を・・・守れるの?




「俺は、会いたくなかった。」

自問していると、この上なく低いナオ様の声が聞こえた。


「ふふふっ・・・ナオ様は相変わらず、素直じゃないですね。
本当は、ナオ様も私と同じ気持ちでしょう?」



・・・ズキンッ・・・

アンリ様の自信満々な言葉に、私の胸が鋭く痛んだ。


・・・何?この痛み・・・・・



「だって、私とナオ様は婚約者ですものね♪」



“婚約者”
その言葉に、私の心が悲鳴をあげる。


ああ・・・

これは、何?


この痛みは一体!?



私が、2度目の原因不明の痛みに戸惑っていると、ナオ様は静かに、低い声で言ったんだ。






「俺は、お前のことを愛していない。
お前と真逆の気持ちだ。

・・・何度も言っているだろう?」




感情の、こもらない声で。