守ってくれますか?

・・・・・え・・・

下を見ると、パーカーのフードを深くかぶった、長身の男の人が手を挙げていた。

い、今、10兆って、言った?
幻聴じゃない、よね??


「10兆ですね。他にいますか?」
隣の男の人が言った。

「・・・・・・」

「いないようなので、この人は10兆です。」

冷たい声がそう言うと、やる気のない拍手が、パラパラと起こった。

「さあ、次の人に移ります。・・・オマエはさっさと、ステージ裏に行け。ジャマだ。」

冷たい声の人に言われ、私はステージ裏へ向かった。

・・・・10兆・・・。

私、超頑張ったなあ・・・。


・・・よかった。
借金返しても、9兆残る。
ユウたちの、しばらくの生活費になる。


ここでは、初等学校(しょとうがっこう)を卒業すれば、働くことができる。
・・・早くて12歳で働ける。

15歳のユウと、14歳のルリは、働ける。

だから、9兆あれば充分だ。

そんなことを考えながら歩いていると、ステージ裏についた。