俺の正面で歩みを止め
口をひらいた。
「履歴書…返して
いただけますか?」
……はっ?……
「私は…専務に…
これを届けに来ただけです。
専務が転籍される際に
叔母が預かり返せなかったと…
最後の入院前に…
いつかお返ししてと…
預かっていたんです。」
…差し出された
見たことのある
アクセサリーショップの紙袋を…
喉の熱をこらえて
受け取った。
かつてーーーー
向こうに
子会社に籍があった時分
むこうに住んでいた頃
近所にあった貴金属店の紙袋
レナに渡した餞別と
何かをねだることも
何かを望むこともなかった
彼女だったが…
唯一望んだものを
買った店の…モノ…



