「失礼いたします。 ◯◯大学法学部の 藤村瑞希ともうします。」 就職課で聞かされたのだろう お決まりの挨拶を彼女はして 勧められたパイプ椅子に 腰を下ろした。 ーーーー息を呑んだ。 生き写しーーーー まさに ピッタリの言葉 気分を害さないであろう程度に 彼女に…その人の面影を 重ねて見つめていれば 人事部より、質問はないかと 問われ、口を開いた。 「何故…わざわざ… うちを承けようと? あなたの現住所なら… 子会社のほうが近いよね?」 午前中からの疑問を 直球でぶつける。