「ちょっ!ちょっとあやみ!こぼれてる!」
と、いつも一緒にいる夏波(なつは)が私に言う。
我にかえり、自分の手元をみると、持っていたペットボトルからみずがこぼれていた。
「ごっ、ごめん!ぼーっとしてた」
急いでハンカチをとりだし、机の上を拭く。
「もぅ、あやみは大丈夫?ぬれなかった?」
「うん」
「ほんっと、どんくさいんだから」
「ごめんなさーい」
そういいながら、こぼした水を拭いていると、夏波が、
「ってか、ハンカチかわいー!あやみっぽい」
と、笑いながら言ってきた。
私のハンカチは、ピンクで、フリルがついていた。
私ってこんな可愛いの?
「そう…かなぁ?」
「そうそう!なーんか、可愛いんだよ。うん。天然だし。こう、私みたいな姉御肌じゃないってゆーか」
「そっか、私ってそうなのか」
「そーゆーとこだよ」
「ねぇっ恋って何?」
と、私が聞くと、夏波は、むせた。
「だっだいじょうぶ?」
「大丈夫も何も、急にあやみがそんな事聞くからでしょ!」
夏波は、恋とか、そういう単語を聞くだけで、過剰に反応してしまう。