「二名様ですね、どーぞっ」 係りのひとに言われ、ゴンドラに乗り込む私たち。 なぜか観覧車は人気で長蛇の列が出来ていて、順番がまわってくるころには日が傾いていた。 乗り込んでドアが閉まると、上田優生が話しかけてきた。 「日高さんはさ、朝もそうだったけど……何を悩んでるの?」 一瞬、時がとまったような気がした。 どうして訊くかな? 世の中知らなくていいことだってたくさんあるんだよ?