国中が歓喜に沸く中、魔女は約束を果たしてもらおうと国王に王子との結婚を迫るが、約束が守られることはなかった。

魔女は敵対していた国の者だったのだ。

それは魔女宛に届いた敵国からの手紙を姫が見つけたことで知れた。

誰もが魔女が王子に呪いをかけた魔女と同一人物であると怪しんだ。

全ては次期国王である王子の妃になるために、窮地になってから現れ、助けたのではないかと。

もともと魔女を王子の妃にすることに反対していた国王はすぐさま魔女を国外追放とし、王子と接触することを禁じた。

奇しくも王子の危機を救った姫は国民から讃えられ、その見目麗しさから王子の正妃の座を得た。

呪いの後遺症で暫く寝込んでいた王子もまた、目覚めたときに献身的な看病をしてくれていた姫に引かれて行った。

まもなく、悪しき魔女は国の外に追いやられ、王子と姫は婚儀を執り行った。

こうして国の平和は保たれ、王子と姫は幸せに暮らしたのだった。





劇が終わると広場が人々の拍手喝采で包まれた。




「意外と面白かったね」

ライルが横を向くと、リーシャは幕の下りた舞台をぼうっと眺めていた。



「リーシャ?」

リーシャの視界に入るように覗き込んだライルにリーシャはハッと我に返る。




「え?あ…うん、面白かった」

リーシャは笑みを見せるものの、すぐに黙り込み眉を寄せる。