「ぷ…あはは……もう駄目だ…“なったですよ”って…あははは…」

「っ~~~もう!笑わないで!!」

笑いが止まらないライルにリーシャは真っ赤になって抗議する。

リーシャだってわかっているのだ、自分の言葉が変だったことに。



「敬語はいいって言ってるのに」

「わかってますけど…」

リーシャはもごもごとそう呟いて黙り込む。

これでも一週間かけて、リーシャの口調から敬語が抜けてきた方だ。

敬語が抜けてきたのは良いことなのだが、如何せんまだライルに対して遠慮がある。

それはライルが自分よりも年上であろうことが分かっていたし、恥ずかしさも相まってライルに対して使えないでいたためだ。




「まだ遠慮してる?」

ライルの問いにリーシャが小さく頷く。



「そっか。けどどっちかに定めてもらわないと俺…ふっ…ははは」

真面目に答えたのにも関わらず再びからかうように吹き出したライルにリーシャはまた顔を赤らめる。



「ライルのばか!笑うなんて酷い」

「そうそう、その調子。やればできるじゃないか」

「今のは自然と出てきて…“ばか”なんて…ごめんなさい」

「謝らなくていい。自然と出てきたってことは少しは俺に気を許してくれてるってことだろ?時間がかかってもいいから少しずつ歩み寄ってくれれば嬉しいよ」

ライルはからかったかと思えば、顔を赤くさせるほどの甘い台詞を吐くのだから二の句が継げない。

きっと今までも飴と鞭を使いつつ女をものにしてきたに違いない、と勝手な見識を深めるリーシャだった。