初めは優しくて紳士的なロネガンのことを慕い、ロネガンから告白された時も喜んで受け入れたのだが、いざ恋人らしくとなるといつも頭に浮かぶのは魔女故の罪悪感だった。
自らの姿を偽って付き合い続けることはできないという気持ちと、子孫の問題がいつもリーシャの頭の片隅にあった。
しかし、リーシャの悩みなど露知らず、ロネガンは自分を受け入れないリーシャに手をもんだ。
結局はあるきっかけにより魔女だとばれたリーシャをロネガンはあっさりと捨てたのだ。
その時、魔女だとばれただけでとどまれば事は大きくはならなかったが、あろうことかロネガンは街中の人間に吹聴して回り、リーシャはノクターンを追われた。
「可哀想だよなぁ、魔女ってだけで虐げられるなんてな」
リーシャは演技がかったロネガンの口調にうんざりとしながら無言で返す。
「こうして首都モリアでもお前が魔女だとばれたわけだがまた引っ越すのか?まぁ引っ越さないわけにはいかなだろうな。ほらみろ、こいつらのお前を見る目」
言われなくとも先ほどから痛いくらいに視線を感じている。
リーシャは、人々から感じる恐れ、怯え、憎み、嫌悪のこもった視線が自分に集まる感覚を知っていた。
「昨日まで親切にしてくれていた奴も明日からはお前に見向きもしなくなる。こうして市場になんて来れなくなるし、お前に物を売ってくれる親切な奴はいるのかねぇ」
「私は……」
リーシャは何か口にしようとして口を開くが、言葉に詰まる。
「何だって?」
「私は…もう逃げるつもりはありません」
声は小さかったが顔を上げたリーシャの表情には迷いはなかった。
怯みながらも立ち向かってくるリーシャの姿勢にロネガンは苛立つ。

